エルメス社/HERMESはこれまでにも多くのウオッチを発売していますが、いずれも奇を衒ったものではなくファッションにさりげなく溶け込むデザインが特徴です。
またケースやブレスレットの精度は高く、最初の発売から40年ほど経過しているクリッパーは今でも多くの方に愛用されていて、ケース・裏ブタ・ブレス共に目立った損傷がないことに驚かされます。さらにムーブメントはETA社製で今でも新品が生産されて入手できますので、うちでも修理や交換が可能です。
さて写真はフォーブルマンシェット FG2.110で、 一枚仕立てのレザーブレスレットの中央に小型の丸型ムーブメントを埋め込むように配置されています。素材の革を意識したエルメスならではのデザイン。この時計にはリューズはなく、裏ブタにある小さなボタンを針のような棒で押すことで時刻合わせを行います。
ミニマルデザインはそれを支えるテクノロジーがあってこそという例ですね。
この フォーブルマンシェットですが、電池交換や修理には、そのシンプルなデザインとは裏腹に多くのことを要求されます。
まずケースを固定するラグのないデザインのため、このままだと裏ブタを無事に外すことができません。無理にやってしまうと革を引っ張って破る可能性もあります。
時計店にはさまざまな道具がありますが、いずれもこの構造に適したものはありません。というわけでこの時計用の治具を一から作りました。
構想3日 製作1日 手直し1日
うまくできました!
それを使って無事ケースとバンドを分離したところです。
今度は裏ブタを外すのですが、これがまた3点爪留めという他にない構造で、ハードルを超えたと思ったらまた別のハードルが登場するみたいな感じです。
それもクリアしてムーブメントに到達すると、やはり小さい!
ここで電池交換の作業をするわけですが、今回はムーブメントのOHが必要なケースなので、中身は全部分解して、洗浄〜組み立て〜注油〜調整の後、ケースに組み込んでバンドに取り付けて完了となりました。
時計の構造はほんとにいろあります。
毎日が勉強ですね。
というわけで
HERMESフォーブルマンシェットの電池交換は安心してお申し付けくださいませ!
Matsuya
松屋時計店 平松 博
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