あらら、、、時針、分針共に文字盤上に落ちてます。
ご自分で電池交換してる最中にこうなったとのことで、相談にお見えになりました。
裏蓋を開けた後、電池を取り出したりしてるうちにムーブメントが動いて文字盤が浮きあがった結果、針がはずれたのではないかと想像します。
電池交換、やって見ようという気持ちとても分かります。(私もオーディオ機器を自分で修理してみたいという願望があり何度か挑戦してます。、、、結果何台も潰しましたが、、、)
出来そうな気がして、出来たりすることもあるでしょう。ただ時計の構造は相当デリケートでして、例えばコイルにピンセットの先がわずかに触れただけでも即アウト。回路交換となる訳ですが、すんなり回路が入手できると限ったことではありません。部品の供給がなくメーカー修理になった場合はたいていフルメンテナンスの修理扱いとなるので、結果的にはとても高いものになります。
そもそも裏蓋を開ける時、スナップであれネジであれ、何が起きるか分からないので毎日時計を触っている我々でも緊張します。無事に交換できた場合でもかなりの確率で器具を使用しないと裏蓋が閉まらないという事態に直面します。
またケースを開けた瞬間に裏蓋に付着している僅かなチリやホコリ、微細な繊維くずがケース内に混入する可能性が大で、そういったものを顕微鏡やルーペなどでチェックして取り出して、さらにケース、裏蓋やパッキンの清掃や防水シリコンの塗布など一連の作業を終えてから元通り裏蓋を閉めることが大切なのですが、混入したままになってしまうと、歯車の間にはさまって時計が止まるということも起きがちです。そうなると分解してOHが必要になります。
もしご自分でやって途中でうまくいかなくなった場合は、その時点でそっと中断してご相談ください。決してやけになってエイヤー!ってことにならないようご注意を。
お気軽にご相談いただけば、決して意地悪なことは言いませんからご安心を。笑
常にお客様にとって最善の解決方法を考えています。
さてPOLICEですね。
正面から見ると、大きな文字盤と大きなガラスに薄いベゼル。何やら最近のテレビを連想しますね。額縁がほとんどなくてサイズいっぱいに画面が広がっているのと似ています。
対照的なのが裏蓋です。何で?というほど小さい。当然裏蓋を開けて、そこからムーブメントや文字盤を取り出すことは出来ません、もっとも取り出すために裏蓋を大きくしたところで、文字盤をもう少し小さく作らなくてはいずれにしても取り出せそうもないので同じことかもしれませんが。
この構造、そうです、以前もご紹介したように、これはDANIEL WELLINGTONをはじめとするデザインに共通してるんです。
針を取り付けるには、とにかく文字盤にタッチできる状態にしなければいけません。
ガラスを割って、修理して、新しいガラスを入れて修理完了するということをやってきましたが、今回は圧縮空気を使ってみることになりました。
空気の圧力でガラスを飛ばしてはずす。破損の危険もありますがその場合の準備はしました。
結果は、、、、、、、、下記の通り無事にガラスが外れました。ほっと一息。
ということで大きな山場を越えました。
今度はこれを組み上げることになります。
トントンと進めて行きましたが、どうもムーブメントの取り付け部分が緩くなっていますね。いずれまた針が落ちることになりそうなので、これを手当てしておきます。
電池も交換して、あとは問題ないでしょう。
こんな具合でスッキリと直りました!