POLICE。そうこれもダニエルウェリントンと同じ構造なんです。

あらら、、、時針、分針共に文字盤上に落ちてます。
ご自分で電池交換してる最中にこうなったとのことで、相談にお見えになりました。
裏蓋を開けた後、電池を取り出したりしてるうちにムーブメントが動いて文字盤が浮きあがった結果、針がはずれたのではないかと想像します。


電池交換、やって見ようという気持ちとても分かります。(私もオーディオ機器を自分で修理してみたいという願望があり何度か挑戦してます。、、、結果何台も潰しましたが、、、)
出来そうな気がして、出来たりすることもあるでしょう。ただ時計の構造は相当デリケートでして、例えばコイルにピンセットの先がわずかに触れただけでも即アウト。回路交換となる訳ですが、すんなり回路が入手できると限ったことではありません。部品の供給がなくメーカー修理になった場合はたいていフルメンテナンスの修理扱いとなるので、結果的にはとても高いものになります。
そもそも裏蓋を開ける時、スナップであれネジであれ、何が起きるか分からないので毎日時計を触っている我々でも緊張します。無事に交換できた場合でもかなりの確率で器具を使用しないと裏蓋が閉まらないという事態に直面します。
またケースを開けた瞬間に裏蓋に付着している僅かなチリやホコリ、微細な繊維くずがケース内に混入する可能性が大で、そういったものを顕微鏡やルーペなどでチェックして取り出して、さらにケース、裏蓋やパッキンの清掃や防水シリコンの塗布など一連の作業を終えてから元通り裏蓋を閉めることが大切なのですが、混入したままになってしまうと、歯車の間にはさまって時計が止まるということも起きがちです。そうなると分解してOHが必要になります。

もしご自分でやって途中でうまくいかなくなった場合は、その時点でそっと中断してご相談ください。決してやけになってエイヤー!ってことにならないようご注意を。
お気軽にご相談いただけば、決して意地悪なことは言いませんからご安心を。笑
常にお客様にとって最善の解決方法を考えています。

さてPOLICEですね。
正面から見ると、大きな文字盤と大きなガラスに薄いベゼル。何やら最近のテレビを連想しますね。額縁がほとんどなくてサイズいっぱいに画面が広がっているのと似ています。
対照的なのが裏蓋です。何で?というほど小さい。当然裏蓋を開けて、そこからムーブメントや文字盤を取り出すことは出来ません、もっとも取り出すために裏蓋を大きくしたところで、文字盤をもう少し小さく作らなくてはいずれにしても取り出せそうもないので同じことかもしれませんが。
この構造、そうです、以前もご紹介したように、これはDANIEL WELLINGTONをはじめとするデザインに共通してるんです。
針を取り付けるには、とにかく文字盤にタッチできる状態にしなければいけません。
ガラスを割って、修理して、新しいガラスを入れて修理完了するということをやってきましたが、今回は圧縮空気を使ってみることになりました。

空気の圧力でガラスを飛ばしてはずす。破損の危険もありますがその場合の準備はしました。
結果は、、、、、、、、下記の通り無事にガラスが外れました。ほっと一息。


ということで大きな山場を越えました。
今度はこれを組み上げることになります。
トントンと進めて行きましたが、どうもムーブメントの取り付け部分が緩くなっていますね。いずれまた針が落ちることになりそうなので、これを手当てしておきます。
電池も交換して、あとは問題ないでしょう。
こんな具合でスッキリと直りました!



ステンレス製指輪のサイズ直し

一般的にステンレスの指輪はサイズ直しする前提でできているわけではありません。
商品を作っているメーカーさんでも受け付けずに別に新しい指輪の購入を勧められることになります。
一番の理由はその硬さで、ステンレスはゴールドやプラチナのような「粘り」といったものがなく、ピンピンした感じでとても硬く加工が難しい素材です。また共付けという素材と素材を溶融してくっつける方法でないと強度が出ないため、宝飾品で用いられているロー付け技法は使えません。必然的に周囲を溶かすことになり、満足な仕上がりが期待できないため引き受けられないのが現状です。

しかし、それでもサイズ直しを必要としてる方はいらっしゃいます。
記念の品であったり、思い出の詰まった品であったりする場合は、買い替えで解決するわけではありません。なんとかならないものでしょうか?

なんとかなることもあります!
デザインや状態にもよりますが、お引き受けできることもあります。

上の写真はステンレス製の甲丸リングで、センターにダイヤモンドが埋め込まれています。
今回これを小さくサイズ直しします。

ダイヤモンドが入っている部分と反対側で、リングをサイズが合うように2箇所カット。短くなったリングを丸くなるように曲げていきます。これが硬いステンレスのため、しかも石が入っているのでなかなか難しい作業になります。石に圧力がかかると割れたりすることになるので、それを避けつつ丸く丸く。ゲージ棒で何度もサイズを確認しながらヤスリがけしつつ、継ぎ目がぴったり合うように形を整えます。
ここまでは下準備で、いよいよレーザーの出番です。合わせ目に細かくレーザーを打って一周します。
それからレーザーで溶けてへこんだ部分を埋めるように、ステンレスの細線を同じ場所に溶かし込んでいきます。これを何度も何度も繰り返して隙間をうめ切ったら、今度は磨きです。
飛び出してる部分を削って平らにして、最後は仕上げの磨き。
上手くできて当たり前ではありますが、ちゃんと綺麗に仕上がりました。

下は出来上がりの様子。(黒い線のように見えているのは、写真に写り込んだ周囲の影です。)

こっちは後ろから見たところです。
向こう側のダイヤモンドが入っている部分にクリーニング用の小さな穴が見えます。

ゴールド、プラチナなどの宝飾品のサイズ直し、真珠のネックレスの糸替、石ネックレスなどのワイヤー替、ブレスのシリコンゴムの入れ替え、ネックチェーンのロー付け、ピアス加工、リング加工などなんでもご相談ください。
米国宝石学会鑑定士(GIA G.G.)がベストを尽くして皆様のご要望にお応えします。

Matsuya
松屋時計店 平松 博
〒640-8033 和歌山市本町2丁目27番地
電話 073(422)0905
FAX 073(422)6667
mail  jazz@mta.biglobe.ne.jp

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定休日:毎週火曜日

はてさてBVLGARIは助かるだろうか?

バンドのコマが外れてしまってます。

あれこれバラバラに見えますが、問題は左下のH型のコマとその窪みにはまるかまぼこ型のコマが外れているところです。

拡大すると分かりますが、これらは2本のネジで固定されていたものです。ところがそのネジが折れてしまった。折れただけじゃなくて「折れ込んだ」状態。錆びつきもあります。この4箇所からネジ山を潰さないようにネジの残骸を取り出すことができれば、そこに新しいネジを作って元通りの状態に戻せます。ただし1箇所でなくて4箇所、、、ネジ山を確保して、、、
なかなかの状況ではありますが、これができないと大ごとになるでしょうから頑張ってやってみましょう。

ということで月日は流れ、、、そんなわけないですね。
慎重にも慎重を重ねつつ、顕微鏡下でネジとの格闘が続きます。その結果、幸運にもネジ山を完璧な形で残すことができました。良かった!
続いて同じ口径のネジの中から使えそうな物を選び、ネジ山を削ってピッタリのネジを作ります。
ブレスも含めて全部洗浄してピッカピカ。これで組み立ての準備は整いました。

バンドを組んで時計本体に取り付けると気持ちのいい達成感に包まれます。

ところがここまで来て今度はバックルの動きがおかしいことに気がつきました。爪に食いつく部分の摩耗と変形があります。削って直すか、あるいはこの部分を交換できるならそうするか?
うちでも多数のDバックルを用意しており、試してみるとその中から近い形のもので置き換えることができることが分かりました。元のパーツは取り外すわけですが、それを元に戻ることもできますので何も問題はありません。
お客様に確認して、ここは交換することになりました。ということでめでたく完了となりました。


バックルの動作も軽快で、気持ちよくお使いいただけるようになりました。

時計バンドが壊れて普通の方法では直せない、バンド一式を交換しないといけないのか?
そんな時計バンドのトラブルでお困りの方は、お気軽にご相談くださいませ。
必ず修理できるというものではありませんが、できる限り修理する方法を考えてみます。

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MARC JACOBSの時計バンドを交換するには

時計バンドの修理や交換の相談が相次いでいるので、引き続き特殊なケースにどうやって対応させていただいているのかご紹介させていただきます。

MARC JACOBSの一部のウオッチにはに革製の「引き通し」と呼ばれる一つにつながったバンドが使用されています。(MBM8555とかMBM1150など)
これをさて交換するとなるとなかなかピッタリ会うのものが見つかりません。引き通しのバンドは多くがナイロン製で、革製があっても今度はデザインや色が大幅に変わることになります。またメーカーでの交換は出来るかと思いますが、それなりに費用もかさむことになります。

引き通しとして使用できるように幅が一定のもので、革製でできればステッチなし。そしてカラーが合うことが条件です。それを加工して使えるようにならないか?
そんな条件に当てはまるバンドが、ハイ!ありました!!


左は交換した後。 右は元のバンド。

以前ご紹介したことのあるカシス・CASSISにピッタリのものがありました。ほんとCASSISは他のどこにもないようなニッチなバンドを本気で提供してくれるのでありがたいです。
革製でステッチなし、カラーはなんと12色展開、14mm〜20mmまで1mm刻みですから
驚きます。値段はお得感満載の¥3,300.(税込)
(しかもそれより細い場合は別シリーズで7mm〜12mmまでカバーしてくれています)

さて、このバンドをこの時計に使えるようにするにはちょっとした加工が必要になります。引き通しに対応することと、もう一つは全長を使用する方にフィットするようにする必要があります。
元々バンドはラグにバネ棒で取り付けることを前提としているので、12時側と6時側をそのまま繋いだのでは当然短くて使用できません。
どうやって接続するか???考えること数十分、、、
2回の試作、もう1回の改良を経て、最終的にスマートな解決法を見つけました。
ステンレスの心棒を加工、ステンレスの細いパイプと組み合わせてバンドにセットした上で、レーザーでパイプと心棒を固定。バッチリです。


バンドとバンドの隙間は全長を考えて距離を決めています。
時計の構造上、左右のラグはつながっておりそこが腕に触れることになるので、バンドの接続部分はスムーズにつながっていれば隙間があってもなくても問題にはなりません。これはうまいこといきました。


いずれもCASSISのバンドを加工して交換しました。

交換費用
バンド(¥3,300.を使用)と材料加工込みのお値段が
なんと全部込みで¥3,740.(税込)です。

時計バンドの修理

以前にも時計バンドの修理について紹介させていただいたことがありますが、今回のように心棒が中で折れてしまったり、抜ける前提でない心棒が抜けてしまったりすることもあります。

時計バンドのコマには全体の長さを調節するために取り外しできるコマと、出来ない固定コマの2種類があります。元々はずれないようにカシメられている固定コマが経年変化等によってはずれてしまうと、メーカー修理ではバンドそのものを交換することになり結構な費用がかかってしまいます。
上記写真は固定コマの心棒が抜けてしまった状態です。

修理は、折れた心棒を取り除き、同じ口径の心棒を必要な長さに切りそろえて最後にレーザーで固定するという手順です。



実は反対側の心棒も片方が中で折れていて、もう片方でつながってはいるのですが何とかする必要があります。

手順そのものはシンプルですが、外観を損なわないように直径0.9mmという小さな穴の中で心棒とブレスを溶接することになるので、何よりも正確に作業をすることが求められます。呼吸を止めて集中、みたいな感じです。手の震えとかも厳禁。
出来栄えは写真の通りで、一見して分からないように出来ました。
かなりいい感じだと思いますが、いかがでしょうか。

様々な修理のご相談を受けておりまして、一つ一つの状況は異なるのですが、いずれの場合も最善を提供できるように励んでおります。
時計の内装修理はもちろんですが、時計店で断られたり、メーカーでないと対応できないような時計バンドやクラスプ修理でお困りの方はお気軽にご相談くださいませ。
今回のHAMILTON以外にもOMEGA,ROLEX,Cartier,BVLGARI,LONGINES,SEIKO,CITIZEN、、、、、
できる限り修理の方法をご提案いたします。

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HERMESフォーブルマンシェットの電池交換・OH

エルメス社/HERMESはこれまでにも多くのウオッチを発売していますが、いずれも奇を衒ったものではなくファッションにさりげなく溶け込むデザインが特徴です。
またケースやブレスレットの精度は高く、最初の発売から40年ほど経過しているクリッパーは今でも多くの方に愛用されていて、ケース・裏ブタ・ブレス共に目立った損傷がないことに驚かされます。さらにムーブメントはETA社製で今でも新品が生産されて入手できますので、うちでも修理や交換が可能です。

さて写真はフォーブルマンシェット FG2.110で、 一枚仕立てのレザーブレスレットの中央に小型の丸型ムーブメントを埋め込むように配置されています。素材の革を意識したエルメスならではのデザイン。この時計にはリューズはなく、裏ブタにある小さなボタンを針のような棒で押すことで時刻合わせを行います。
ミニマルデザインはそれを支えるテクノロジーがあってこそという例ですね。

この フォーブルマンシェットですが、電池交換や修理には、そのシンプルなデザインとは裏腹に多くのことを要求されます。
まずケースを固定するラグのないデザインのため、このままだと裏ブタを無事に外すことができません。無理にやってしまうと革を引っ張って破る可能性もあります。
時計店にはさまざまな道具がありますが、いずれもこの構造に適したものはありません。というわけでこの時計用の治具を一から作りました。
構想3日 製作1日 手直し1日
うまくできました!

それを使って無事ケースとバンドを分離したところです。
今度は裏ブタを外すのですが、これがまた3点爪留めという他にない構造で、ハードルを超えたと思ったらまた別のハードルが登場するみたいな感じです。

それもクリアしてムーブメントに到達すると、やはり小さい!
ここで電池交換の作業をするわけですが、今回はムーブメントのOHが必要なケースなので、中身は全部分解して、洗浄〜組み立て〜注油〜調整の後、ケースに組み込んでバンドに取り付けて完了となりました。

時計の構造はほんとにいろあります。
毎日が勉強ですね。

というわけで
HERMESフォーブルマンシェットの電池交換は安心してお申し付けくださいませ!

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超PayPay祭は11月28日(日)まで開催中!

すでにお伝えしている通り、現在開催中の超PayPay祭に松屋時計店も参加しています。
その場で20%還元(1,000円で200円、1万円で2,000円)という最大限の還元を提供させていただいておりますので、お買い物の際は是非ご利用くださいませ。時計、宝石、メガネ、バンド、修理、加工、電池交換 etc.などのお品物、サービスが対象となリます。

期間 2021年10月18日〜11月28日
付与上限 2,000円/1回のお買い物(2,000円/期間中)
クーポンのゲットなど全て店頭でできますので、お気軽にご参加いただけます。

私はPayPayの回し者ではございませんが、PayPayをご利用の方にとってほんとにお得な企画でして、一例ですがバンドをお買い上げいただく場合はこんな計算になります。
まずMORELLATOのベストセラー、ボーレ@5,500円(税込)は松屋時計店が20%引きの4,400円にさせていただきます。さらにPayPayでお支払いいただくとその20%=880円分の還元がその場でありますので実質3,520円(税込)のご負担となります。
なんと64%でお買い物できる計算になります!


自分で言うのも何ですが、松屋時計店は時計バンドにかなり力を入れております。
国産メーカーに加えて、イタリアのモレラート(MRELLATO)、CASSISなど豊富な種類とカラー、サイズをご用意して、さらにセンター部分のカット(コバ仕上げ含む)や両サイドからの挟み込み飾りピン、Dバックルはシルバー、ゴールド、ピンクゴールド色の展開、バンドに関する各種パーツ類を揃えており、相当踏み込んだ在庫と取り付け技術で臨んでおります。
バンドを思いきって変えてみると時計の表情はまるで違うものになります。ご自身の時計はもちろん、お母様やお父様の時計をいただいたりすることもあるかと存じますが、時計をお持ちいただいていろんなバンドを合わせてみてください。
思いがけない色が時計をお持ちになる方のファッションを引き立ててくれることでしょう。

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定休日:毎週火曜日(11月23日・勤労感謝の日も休みです)

時計バンドのコマがはずれた場合

ステンレス等金属製の時計バンドのコマには2種類あって、一つは全体の長さを調節するために取り外しできるコマと、出来ない固定コマの2種類があります。
大体の場合は時計本体(12時側、6時側)に近い部分は固定コマで、クラスプの付近は取り外しのできるコマになっています。

固定コマはそもそもはずれないようにカシメられているのですが、使用の具合や経年変化によってはずれてしまうことがあります。そもそも外れる前提ではないため一般的に修理が困難で、そうなるとメーカー修理ではバンドそのものを交換することになり思わぬ費用がかかってしまいます。
さて上記写真の外れたコマは固定コマの最後の部分で、元々一体に繋がっている部分が抜けてしまった状態です。

さてこれは修理できるのでしょうか?
「はい、修理できます。」

元々一体だった部分をレーザー溶接で溶着することで元通りご使用いただくことができるようになります。
詳しく説明させていただくと、はずれたコマとコマの接している部分に沿ってレーザーで溶着。裏側はもちろんですが、横側も狭い隙間からスポット径0.2mmという極小のレーザービームでできるだけ溶着していきます。
固定用の心棒を差し込みむ口の付近はあらかじめ座ぐっておき、最後にそこを集中的に溶着。ここは表からは見えない部分で、こうすることでよりしっかりと固定されます。

という具合で出来上がった部分を裏側から見たのが上記の画像です。
表側から見たのが下記の画像です。
表面は溶着していませんので特に修理した跡はありません。

ということでめでたく修理完了となりました。
これで元通りご使用いただけます。
専用バンドの価格は上昇しており、CREDORやインポートの時計などでは10万円を超えることも珍しくありません。直せるものは直してお使いいただけるよう工夫して参りますので、時計バンドに関する同様の修理やクラスプ部分の破損などでお困りの方はお気軽にご相談くださいませ。

 

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レーザー溶接機を導入

この度レーザー溶接機を導入しましたので、今回は宝飾品、アクセサリー、時計、メガネなどの加工や修理に関して技術的な面でのお話をさせていただきます。

金やプラチナ、シルバーのような金属と金属を溶接するには、バーナーなどを用いてそれらをくっ付ける役割の材料「ロー材」が溶ける1000℃前後の高温に熱する必要があります。
例えばチェーンの一部がが切れたり、ペンダントの丸カンが切れたりすると、そうやって修理することが一般的です。ところがすぐ側に宝石やガラスがある場合は、そんな熱を加えると割れたり壊れたりしてしましますから、あらかじめ取り外して作業することになります。もちろんその後で改めて石留めすることになりますが、一度起こした爪が折れた場合は、改めて爪を作ることになります。

別のケースで、ホワイトゴールドにはロジウムメッキが施されていることが多いのですが、炎を被ると剥がれて変色してしまいます。そういう場合は仕上げをしてから再度メッキ処理をすることになります。

このようなケースは工程が増えて時間と費用がかかるにしても、とにかく「出来る」ことですからまだ良しとするわけですが、出来ないようなケースもあります。

例えば、エメラルドのメレがたくさん入った所の1個が爪が折れて外れてるような場合は困ったことになります。まず小さな石を全部外して・・・所々爪が折れて・・・気が遠くなるようなことになるわけです。
時計のバンドのステンレスのバンドのコマやクラスプが切れたり、壊れたりすることがありますが、これをロー付けでくっ付けるのはなかなか困難なことです。しかしながら0.2mmという極細のレーザーを使うことで、今まで時計バンド一式を交換しないと直らなかったものでも修理できるケースが一気に増えました。

他にも多くの例があるのですが、直接高温の炎に晒せない作業が必要になった時やロー材を使わずに素材同士をくっつける必要がある時、「レーザー溶接機」が問題解決に真価を発揮します。
僅か0.2mm程度のスポットにレーザービームを当てて瞬間的に溶解しますから、付近に高熱を伝えることはありません。石を外す必要もなく、再メッキも必要ありません。

元々メーカーが使用しているような設備で、うちなど小規模な小売店が備えることは稀なことでしょうが、お客様からのご相談がますます多岐に渡るようになり、より的確な作業でスピーディーにお応えできるようにと思い導入に踏み切りました。

どんなことでも出来るわけではございませんが、ベストを尽くします。
何でもお気軽にご相談くださいませ。

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G-SHOCKのバンド交換

G-SHOCKのバンド交換を承りました。
G-SHOCKのバンドにも色々なタイプがあり、これは両サイドのネジを外して取り付けるタイプですが、すでにネジ山を「なめた」状態です。一見してこれは容易には回らない感じですので一旦潤滑剤を入れて時間を置きます。
日を置いて回そうとしてみるのですが、どうにも動く気配すらありません。
ネジの噛み合い部分が大きい上に、ネジ山が小さいためちょっとやそっとのことでははずれない模様。こうなると総力戦であれもこれも動員して色々試すこと3日がかりで、どうにか外すことに成功!無事交換することができました。

ネジの状態はやはり下の写真のように錆び付いていました。ちなみにステンレスは酸素に触れていれば錆びませんが、酸素のない状態(ネジの噛み合わせの僅かな隙間に汗や汚れが侵入して空気を遮断してしまった状態等)では錆ます。
同じ理由で、時計の裏蓋についてる透明の傷防止シールも長くなると隙間に錆が出たり変色したりしますから、ほどほどの時期に外しておくことをお勧めします。



今回使用した道具「主な登場人物」たちです。
小さな「ネジ」ひとつですがなかなか奥が深いです。